海に浮かぶ切手 2014 11 9
書名 空母
著者 博学こだわり倶楽部 河出書房新社
「海に浮かぶ切手」
正に、その通りです。
実は、私は、フライトシミュレーターをやったことがあります。
どういうわけか、戦闘爆撃機が空母に着艦するシミュレーターを選んでしまったのです。
空港に着陸するセスナ機のつもりだったのですが、
艦載機と空母になってしまったのです。
「いったい、空母は、どこにいるか」
戦闘爆撃機からは、目を凝らしても、空母を発見できません。
海の上に、木の葉のようなものが浮かんでいるように見えましたが、
それが、位置的には、つまり座標上、空母だったのです。
文学的に表現するならば、
上空から見れば、空母は、「海に浮かぶ切手」のようなものです。
近くで見れば、巨大に見えますが、
上空から見れば、空母は、切手サイズにしか見えません。
さて、普通、滑走路というものは、
2000メートルから3000メートルもあります。
しかし、空母は、たったの300メートル程度です。
そういうわけで、空母には、着陸も離陸もありません。
一応、「着艦」と言いますが、
実質的には、「人工的な墜落」だと思います。
艦載機は、減速しても、時速200キロメートル以上なのに、
空母は、まるで止まっているように見えます。
しかも、着艦用の「滑走路」は、260メートル程度です。
たったの260メートルで、時速200キロメートルを時速ゼロにする必要があります。
これは、やはり、「人工的な墜落」に近いと思います。
次に、発艦ですが、これは「離陸」と呼べるようなものではありません。
現代の艦載機は、重さが30トンを超えます。
燃料を満載した上に、ミサイルや爆弾を搭載すると、軽く30トンを超えるでしょう。
しかし、発艦用のカタパルトは、長さが100メートル程度です。
重さが30トンもある艦載機を2秒程度で時速250キロメートル以上に加速させる必要があります。
しかも、長さが100メートル程度しかないスペースを使って行う必要があるのです。
これは、「離陸」というよりも、「射出」と言った方がよいでしょう。
まるで銃が火薬で弾丸を発射するようなものに近いでしょう。
もちろん、カタパルトは火薬ではなく、
強力で高圧の水蒸気を使っています。
さて、日本人は、意外に思うかもしれませんが、
空母には、「教会」があります。
巨大な原子力空母は、「動く原子力発電所」であると同時に、
「動く街」でもあります。
原子力空母の乗員は、5500人なので、
これは、町や村の人口に匹敵すると思います。
アメリカは、軍事大国であると同時に、
宗教大国でもありますので、教会が必要になるのです。
当たらないミサイル 2012 7 15
時々、ニュースで、
「中国は、アメリカの原子力空母を寄せ付けないために、
対艦弾道ミサイルを開発した」とありますが、
これも、「当たらないミサイル」の見本のようなものです。
そもそも、弾道ミサイルとは、
固定された目標を狙うもので、
空母のような動く目標には適当ではありません。
原子力空母というと、あまりにも巨大で、
動きも鈍いと思っている人が多いでしょうが、
意外にも、原子力空母は、敏捷性があります。
公表されているデータでは、
たとえば、原子力空母ロナルド・レーガンでは、
最大速度が30ノット以上(時速56キロ)とあります。
実は、私は、原子力空母の就役前の訓練、
おそらくシェイクダウンクルーズ(整調巡航)の動画を見たことがあります。
その時の印象では、原子力空母は、「意外にも小回りが利く」、
あるいは「意外な動きをする」というものでした。
そういうわけで、弾道ミサイルは、原子力空母には当たりません。